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【2023年最新版】安全運転管理者とは?罰則まで詳しく説明

事故の防止・削減に取り組み、安全かつ円滑に業務を遂行するために、中心となって業務を行う役割を担う安全運転管理者。
本記事では、安全運転管理者を任命する必要がある対象から安全運転管理者の届け出方法、罰則まで詳しく解説します。

【2023年最新版】安全運転管理者とは?罰則まで詳しく説明

令和4年(2022年)の道路交通法改正に伴い、2022年10月1日より、安全運転管理者の選任、解任、届出の未提出などに関して、安全運転管理者の選任義務違反に対する罰則が厳罰化されます。詳しくは「【重要】2022年10月1日より安全運転管理者における選任義務違反への罰則が強化!」をご参照ください。

安全運転管理者とは

安全運転管理者とは、企業における安全運転を確保する責任者である事業主に代わって(代務者として)安全運転の確保に必要な業務(酒気帯びの確認の徹底や運転者に対する安全運転指導など)を行う人を言います。

一定台数以上の自家用車(白ナンバー)を使用する事業所は、資格を有する安全運転管理者及び副安全運転管理者を選任しなければなりませんが、一方で、安全運転管理者には誰でも任命できるわけではありません。任命には資格要件があり、任命した場合には公安委員会に届出を出す必要があり、法定講習の受講も必要です。

安全運転管理者は、「乗車定員11人以上の自動車は1台以上、その他の自動車を5台以上使用している事業所(自動車使用の本拠地)」において、選任が必須となります。また、使用する自動車の台数が20台以上になった場合、20台以上・40台未満は1人、以下20台ごとに1人ずつ安全運転副管理者の選任が必要です。

安全運転管理者等の選任基準

安全運転管理者は、「乗車定員11人以上の自動車は1台以上、その他の自動車を5台以上使用している事業所(自動車使用の本拠地)」において、選任が必須となります。また、使用する自動車の台数が20台以上になった場合、20台以上・40台未満は1人、以下20台ごとに1人ずつ安全運転副管理者の選任が必要です。

なお、自動二輪車1台は0.5台として計算し、50cc以下の原動機付自転車は含みません。自らが執務している事業所(自動車使用の本拠地)であれば、社長を選任することもできます。ただし、運転代行業を事業としている企業の場合、「自動車運転代行業の業務適正化に関する法律」によって、営業所ごとに安全運転管理者を選任し、保有車両が10台を超えるごとに一人以上の副安全運転管理者を選任しなければなりません。

安全運転管理者およびそれを補助する副安全運転管理者は、次のような業務を通じて事業所全体の安全運転促進と事故予防・削減のために尽力することが求められています。

近年、企業の飲酒運転事故が続いたことで道路交通法施行規則の一部が改正されたことにより、安全運転管理者の業務も追加されています。

安全運転管理者の業務内容

内閣府令で定める安全運転管理者のおもな業務内容(道路交通法施行規則第9条の10)

  1. 運転者の状況把握
    自動車の運転について運転者の特性・知識・技能や運転者が道路交通法などの規定を守っているか把握するための措置をとる
  2. 安全運転確保のための運行計画の作成
    運転者の過労運転防止、そのほか、安全な運転を確保するために自動車の運行計画を作成する
  3. 長距離、夜間運転時の交替要員の配置
    長距離運転または夜間運転となる場合、疲労などにより安全な運転ができないおそれがあるときは交替するための運転者を配置する
  4. 異常気象時等の安全確保の措置
    異常気象・天災、その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、安全確保に必要な指示や措置を講ずる
  5. 点呼等による安全運転の指示
    運転しようとする従業員(運転者)に対して点呼などを行い、日常点検整備の実施、飲酒、疲労、病気などにより正常な運転ができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与える
  6. 運転日誌の備付けと記録管理
    運転状況を把握するために必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させる
  7. 運転者に対する安全運転指導
    運転者に対し、交通安全教育指針にもとづく教育、自動車の運転に関する技能・知識、そのほか、安全運転を確保するために必要な事項について指導する
  8. 酒気帯びの有無の確認及び記録の保存(1年保存)【令和4年4月1日施行】
    運転前後の運転者に対し、運転者の状態を目視などで確認することにより、酒気帯びの有無を確認する(第6号)。確認した内容を記録し、この記録内容を1年間保持すること(第7号)。
  9. アルコール検知器の使用等【令和4年10月1日施行】
    8の確認を国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いて実施する(第6号)。アルコール検知器を常時、有効に保持する(第7号)。

安全運転管理者の補助役「副安全運転管理者」とは

副安全運転管理者の役割は安全運転管理者を補助することですが、業務内容自体は上記で示した安全運転管理者の業務と変わりありません。また、何らかの事情で安全運転管理者が適切に業務を行えない場合は代行したり、経験を積んだりすることで次の安全運転管理者を育てるという意図も含まれています。

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安全運転管理者の資格要件

企業は、安全運転管理者として以下の資格要件を満たす者を任命しなくてはなりません。

安全運転管理者の場合

  • 年齢が20歳(副安全運転管理者を選任しなければならない場合は、30歳)以上の者
  • 2年以上の運転管理の実務経験を有する者
  • 過去2年以内に公安委員会の解任命令を受けたことのない者
  • 過去2年以内に次の違反行為をしたことのない者
    ひき逃げ                   
    酒酔い運転、酒気帯び運転、麻薬等運転、無免許運転、妨害運転       
    酒酔い運転や酒気帯び運転に対し車両や酒類を提供する行為       
    酒酔い運転や酒気帯び運転の車両に依頼・要求して同乗する行為       
    酒酔い運転、酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許運転、無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反の下命・容認       
  • 自動車使用制限命令違反

副安全運転管理者の場合

  • 年齢が20歳以上の者
  • 1年以上の運転管理実務経験を有する者か、3年以上の運転経験を有する者
  • 過去2年以内に公安委員会の解任命令を受けたことのない者
  • 過去2年以内に一定の違反行為をしたことのない者(※)

(※)一定の違反行為とは、安全運転管理者の場合と同じ

引用元:警視庁HP -安全運転管理者等の資格要件

【義務】安全運転管理者を選出したら公安委員会へ届出を提出する

道路交通法第74条3第5項では、「自動車の使用者は、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安全運転管理者等」という。)を選任したときは、選任した日から十五日以内に、内閣府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任した時も、同様とする」と定められています。

つまり、安全運転管理者と副安全運転管理者を選任したら、「15日以内」に自動車の使用の本拠を管轄する警察署を経由し、公安委員会に届け出ることが義務だということです。

また、事業規模が縮小し自動車の台数が基準以下になった時や、事業所が移転・閉鎖した時、あるいは人事異動や退職などに伴い、安全運転管理者等を改任・解任・変更した場合も、同様の日程で届出を行わねばなりません。

届出先はどこ?

以前は以下の書類等を不備なくそろえたうえで、所轄警察署の警察署・交通課窓口まで赴く必要がありましたが、令和4年1月4日からは「警察行政手続サイト」からのオンライン申請による各種手続きができるようになりました。もちろん、自動車の本拠を管轄する警察署の交通課へ届けることも可能です。

管轄警察署区域検索はこちらでご確認ください。

届出に必要な書類

①初めて選任した場合、または管理者を変更する場合

安全運転管理者(副安全運転管理者)に関する届出書1通(※規定様式のもの)
※警視庁のサイトより申請書類が一式ダウンロード可能です。
※令和2年4月1日より、安全運転管理者等の届出書類が変更となっています。

●安全運転管理者の場合●

  • 公的身分証明書のコピー(戸籍抄本、発行日から6ヶ月以内でマイナンバーの記載がないもの、住民票の写し、マイナンバーカード・運転免許証など)
  • 運転管理経歴証明書
  • 運転記録証明書(自動車安全センターに1か月以内に発行してもらったもので、過去3年間を証明できるもの。申請用紙は警察署・交番・駐在所にあり)

●副安全運転管理者の場合●

  • 運転管理経歴証明書のコピーまたは免許証のコピー(運転管理経験が一年未満の場合は免許証のコピー、ただし免許証コピーを添付の場合、次の書類は不要です。
  • 公的身分証明書のコピー(戸籍抄本、発行日から6ヶ月以内でマイナンバーの記載がないもの、住民票の写し、マイナンバーカード・運転免許証など)

なお、次の書類は必要に応じてご用意してください。(安全運転管理者および副安全運転管理者共通)

・住居(勤務)証明書

1)居住証明書
やむを得ない事情によって住民票または運転免許証の住所と実際の住所が異なる場合、雇用者が該当の安全運転管理者等の居住の事実を証明する書類。

2)勤務証明書
該当の安全運転管理者等が事務所の所在地から離れた場所(通勤圏外を除く)に住んでおり、事実としてそこから通勤している場合、雇用者が勤務の事実を証明する書類。

②解任する場合

  • 安全運転管理者(副安全運転管理者)に関する届出書1通

③変更する場合

  • 安全運転管理者(副安全運転管理者)に関する届出書1通
    ※本拠が県内で他の警察署管内に移転した場合・・・移転先に変更届を提出
    ※本拠が他府県に移転した場合・・・解任届出後、移転先の公安委員会へ選任届を提出
    引用元:愛知県警察HP -安全運転管理者等の届出手続き

そのほかにも、次のような場合位は記載事項変更届を提出しなくてはなりません。

  • 会社や事業所の名前が変更になったとき。
  • 事務所の移転で自動車を使用する本拠地が変更になったとき。
  • 業種が変更となったとき。
  • 使用する自動車の台数が増えた、または減ったとき。
  • すでに提出している届出の内容から変更する箇所が発生したとき。

安全運転管理者を未選任だった場合の罰則とリスク

安全運転管理者等を選任しなかったり、届け出の提出を怠ってしまったりした場合、次のような罰則やリスクが発生します。

安全運転管理者等を選任・届出しなかった場合の罰則

これまでは、基準を満たしているにもかかわらず、安全運転管理者および副安全運転管理者を選任しなかった場合、「5万円以下の罰金」、選任しても届出しなかった場合は、「2万円以下の罰金」という罰則が設けられていましたが、2022年4月27日に「道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)」が成立し、安全運転管理者の選任義務違反等に対する罰則が引き上げられることになりました。

2022年10月1日以降は、条件に該当するにもかかわらず、安全運転管理者および副安全運転管理者を未選任だった場合、50万円以下の罰金が、また、安全運転管理者の解任、安全運転確保のための是正措置命令について従わなかった場合も同じく50万円以下の罰金が課せられることになります。

安全運転管理者等を選任・届出を提出しなかった場合のリスク

業務多忙で怠ってしまった、届出を出すことを知らなかったなど、基準に達しているにもかかわらず安全運転管理者等を選任せず、なおかつ事故を起こしてしまうと、企業・組織の社会的信用は著しく失墜し、事業を継続するうえで様々な弊害が発生するのはもちろん、事故責任の係争や損害賠償訴訟の面でも、不利な状況に陥ります。それだけでなく、10月1日以降は選任・解任の届出を選任から15日以内に提出しなかった場合、5万円以下の罰金が課せられますので、注意が必要です。

また、安全運転管理者を選任しない=従業員や業務上の安全を軽視していると捉えられることも考えられるため、会社への信用を失い、人材が流出してしまう可能性もあります。

安全運転管理者の選任はなぜ必要なのか

民法第715条では、次のように定められています。

民法第715条 使用者等の責任

ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

ここでは、従業員(ドライバー)が業務中に事故を起こした場合、損害を与えた従業員のみならず、使用者である企業も賠償責任を負うことになるということが記されています。言い換えると、従業員へ安全運転を意識づけ、事故を起こさせないことは、企業にとって重要な業務の一つであるということ。それを実行するための責任者として、車両を業務で利用する企業には安全運転管理者を置くことが義務づけられているのです。

安全運転管理者の最たる役目は、安全運転の実現と事故防止のために、車両と従業員(ドライバー)を管理し、安全運転を徹底させることです。悲痛な事故を招き、社会的な問題にもなっている飲酒運転、企業の信頼を落とすことにつながる無免許運転は、管理者による運転前の確認で未然に防止することが可能です。

安全運転管理者による点呼による飲酒運転と体調のチェック、そして免許証の有効期限(※)が切れていないかを確認することで、少しでも事故のリスクを軽減しましょう。

※注
2017年3月12日より準中型免許が施行されたことにより、運転できる車両が異なります。免許証は西暦ではなく元号表記であるため、把握しづらい場合があります。現在が何年かしっかり把握して免許証の有効期限を確認しましょう。

安全運転管理者等法定講習

条件に当てはまり安全運転管理者等を選任した事業者等は、道路交通法にもとづいて公安委員会が行っている安全運転管理者等法定講習を選任された者に受講させなくてはなりません。安全運転管理者を選任(または改任・変更)し、その旨を届け出ると、管轄公安委員会から講習受講を促す通知と講習申出書が送付されますので、その内容に従い、毎年一回、受講するようにしましょう。

なお、同講習の代理受講は認められておらず、必ず選任された安全運転管理者等本人が受講しなくてはなりません。途中退席禁止ですが、月に5~6回程度、様々な会場で随時開催されているため、比較的日程調整はしやすいはずです。

【安全運転管理者等講習の概要】

  • 所要時間・・・6時間程度
  • 講習手数料・・・4,500円
  • 携行品・必要書類・・・講習申出書(通知に同封)、管理者証、本人確認書類(運転免許証等)、筆記具

安全運転管理者等の設置に関するよくある質問

リース車両やマイカー、カーシェア等を使用している場合

経費・工数削減などの面から、自動車を保有せず、リース車両やレンタカー・カーシェアなどを活用したり、マイカーを業務転用したりしている企業や組織もありますが、その場合の安全運転管理等の選任義務はどうなるのでしょうか。

まず、安全運転管理者等の選任が必要となるのは、車両を使用して業務を行う場合です。そのため、車両の名義に関わらず、リース車両やレンタカー・カーシェア、マイカーを業務として使用している場合は、選任対象自動車として数える必要があります。なお、業務に使用せず通勤のみにマイカーを使用している場合は、安全運転管理者等の選任対象とはなりません。

詳しくは警視庁が公表している「安全運転管理者等に関するよくある質問」をご参考ください。

安全運転管理者の管理対象となる車両・拠点の定義

道路交通法第74条の3第1項では、「自動車の使用者は、安全運転に必要な業務を行わせるため、規定の台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、安全運転管理者を選任しなければならない」と記されています。

ここでいう「自動車の使用者」とは、自動車を使う権限を有する者を指し、「自動車の使用の本拠ごと」とは、自動車の保有者・その自動車の管理責任者の所在地ごとと解釈されています。さらにかみ砕いて表現すると、「実際にクルマを使っている事業所の中から安全運転管理者等を選任し、業務を遂行させる義務がある」ということになります。つまり、外部の事業所等から安全運転管理者等を選任することはできません。例えば、本社と事業所でそれぞれ10台ずつ車を使用し活動している場合は、それぞれに安全運転管理者等の選任が必要となります。

安全運転管理者の業務を外部委託することは可能?

安全運転管理者の業務は多岐にわたるため、日頃よりいち従業員として通常業務をこなしながら、安全運転促進と事故予防・削減という重い責務を果たしていくのは、非常に大変であり、負担も大きくなってきます。

たとえば、安全運転管理者の業務の一つである「酒気帯びの有無の確認」について、安全運転管理者の不在時など、安全運転管理者による確認が困難な場合には、副安全運転管理者や、安全運転管理者の業務を補助する者に行わせても良いことになっています。

最近では、企業や組織における様々な業務を外部委託(アウトソーシング)することで、効率化や円滑化を図るところも増えています。酒気帯びの有無の確認に関する業務補助の外部委託の可否については、法令や通達にて明記されていませんが、業務を補助する範囲での外部委託は、認められる余地があると考えられます。但し、安全運転管理者の業務を全面的に外部委託することはできません。

スマートドライブが提供する車両管理アウトソーシングサービス「SmartDrive BPO」は、業務の一部だけを切り取った委託も可能です。以下から資料を無料ダウンロードいただけます。

安全運転管理の業務は、システムやツールでフォローできる

自動車の使用者でありながら安全運転に関する責任を他者へ転嫁することはできませんが、安全運転管理業務は、ITシステムを導入することで効率化し、管理者の負担を軽減することも可能です。

たとえば、安全運転管理者の業務のうち1~8に関しては、ITシステムを用いて運用ルールを定め、情報を見える化・ペーパーレス化・データ化することで、時短による業務負担の軽減はもちろん、安全運転管理業務の正確性や浸透性のUPにもつながるでしょう。

安全運転管理者の業務として新たに加わったアルコールチェックに関しては、アルコール検知器・記録が可能なツールをうまく活用していかねば、管理の徹底は困難かもしれません。これらのツールを活用することで、企業全体の業務効率と安全体制強化を実現することができるはずです。

まとめ -安全運転管理者 必要性の見直し-

安全運転管理者は昭和40年に制度化して以降、社会情勢の変化に伴って改正されつつ、企業や組織が絡む交通事故の削減に大きく貢献してきましたが、いまだ痛ましい交通事故は発生し続けています。自動車を使っていくうえでの義務として取り組むことはもちろん、どうすれば効率的にかつ効果的に安全運転の促進と事故軽減に寄与できるか、この機会にもう一度自社の安全運転管理体制を見直してみてはいかがでしょうか。

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