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2020年12月24日

物流業界の2024年問題とは?

約20年前、2000年になると世界中のコンピューターにズレが生じ、大混乱が起こるかもしれないという、2000年問題が取りざたされました。しかし、結果はご存知のとおり、生活に直結するような大きな混乱は一切なく、私たちは新しい世紀を迎え、今に至ります。

一方、近年では物流業界の2024年問題が注目を集めていますが、こちらは単に過ぎ去ればよいという訳にはいかないようです。そこで今回は、物流業界における2024年問題とは何かを詳しく解説した後、物流業界がクリアすべき課題や解決策について考察します。

物流業界の2024年問題とは?

物流業界における2024年問題とは

大きな混乱なく過ぎた2000年問題、そして間近に迫る2024年問題。前者は世界に普及したコンピューターの仕組み上、使用者の手に負えない誤作動が発生するかもしれないという「予測」にすぎませんでしたが、後者は4年後、物流業界へ訪れる変化に対するもの。そのため、何らかの解決策を2024年までに講じなければ、日常業務に支障をきたし、ひいては企業存続にかかわりかねない、切迫した状況です。

2024年問題は、現時点で制度や法律的にどのような変化が起きるかがすでに発表されており、国が抱える少子高齢化による人材不足やCO²削減という課題がある以上、変化を余儀無くされているのです。

物流業界におきる変化(1)「時間外労働時間の短縮」

2024年問題とは、簡単に言うと近年推進されている働き方改革関連法を物流業界でも遵守しようという動きを指します。具体的には、これまで上限が設けられていなかった物流業従事者の時間外労働時間が、2024年4月1日より「年間960時間」を上限として規制されるようになるということです。月当たり80時間の時間外労働が認められているため、物流ドライバーが月20日出勤ならば「1日4時間」の残業ができる計算になります。

ただ、それだけあれば十分だろうと考えるのはNG。あくまで一般論ですが、物流ドライバーの労働時間は人員や物資を車で運搬している時間のみとされているものの、実際は運行日誌の記入といった事務作業や、配送物資の積み下ろしなどに時間を要しているからです

また、企業の規模によっては、車両の整備や清掃はもちろん新人ドライバーの育成や教育なども兼務するケースも少なくないため、1日4時間はみるみるうちになくなってしまいます。月80時間の上限を遵守するのは、企業としてそう簡単ではないのが現状です。

だからこそ、物流業界は他業種より規制開始まで猶予が設けられていたのですが、期限は目の前まで迫っています。物流業界はまず、人員不足が進む厳しい状況下であっても、この時間外労働時間の規制に対応しなくてはなりません。

物流業界におきる変化(2)「時間外割増賃金率引上げ」

中小の物流企業においては、こちらの方が経営に直結する重大な変化と言えるかもしれません。2023年4月よりこれまで25%であった時間外労働への割増賃金率が、50%にまで引き上げとなります。たとえば、(月60時間までは従来通り25%)業務改善などを行い、頑張って物流従事者の時間外労働時間を月80時間内に抑えたとしましょう。この時、従業員Aさんの時間給が仮に2,000円だとすると2024年4月以前の場合は、

「80時間×2,000円×0,25=4万円」が月トータルの時間外割増賃金となります。

一方、2023年4月の改正後は、

「60時間×2,000円×0,25+20時間×2,000円×0,5=5万円」となり、全く同じ労働時間にもかかわらず、企業としては1万円も負担が増えます。

もし対象の従業員が10名在籍している場合、年当たりの人件費は改正後、120万円も増加してしまうのです。規制が強化されるだけでこれだけの負担増になれば、経営が立ち行かなくなる中小の物流企業も出てきかねません。また従業員としても、時間外労働の割増率引き上げ自体はありがたい話ですが、それで企業が破綻すれば元も子もありません。

物流業界におきる変化(3)「正規・非正規社員の同一労働同一賃金」

一概に運送業に従事しているドライバーと言っても、正社員もいれば契約社員やアルバイトも雇用形態は様々です。そして基本賃金はもちろん、各種手当や昇給・退職金などの面で、たとえ同じ職務に従事していても正規社員と非正規社員の間には待遇面で差がありました。

しかし、その差を埋めるため大企業は2020年4月、中小企業も翌年から同一労働同一賃金という基本的ルールの整備が始まっています。この改正による具体的な変更点は大きく3つ。1つ目は賃金や手当などに対する両者の不合理な格差をなくすべく、規定の明確化を企業に義務付けたこと。これにより企業は、あいまいだった両者間の待遇差に対する根拠を示す必要が出てきました。

また2つ目として、非正規社員から要求があった場合、待遇に差がある理由を説明する義務を企業側に課したほか、待遇等に関する労使間の裁判が発生した時の手続き簡易化や、非正規社員側のプライバシー保護対策なども変更されました。

とはいえ、物流業界は主たる業務が自動車の運転と人員・物資の輸送であるため、正規・非正規従業員との間に仕事内容の差が見えにくい職種です。人事責任者のいる事業所から離れた場所で業務している以上、安全運転を心掛け、効率の良い運搬業務をこなしているドライバーと、そうでないドライバーが判別しにくく、「正社員だから大丈夫」とも言えないのです。

その結果、他の業界に比べ従業員の業務内容に対する正当な評価体制が整っていないのが、物流業界の大きな課題であると言えるでしょう。

今後、物流業界はどうあるべき?

ここまで2024年問題と呼ばれる変化について述べてきました。ここからは、物流業界が変化の波を乗り越え生き残るにはどうあるべきか、ひとつずつ整理しながら考えていきましょう。

物流業界のあるべき姿1「労働時間の短縮」

変化すること1において時間外労働時間の上限が定められ、その上で変化2により各企業の人件費負担が増加すると述べました。これは簡単に言えば、業務効率の向上によるドライバーの労働時間短縮さえ実現できれば、変化にも十分対応ができるということ。

ただしそれが言うほど簡単ではないのが目下の問題。とくに物流業は自動車を運転する作業が1日の大部分を占めるうえ、当日の交通事情や気象条件に業務が左右されるため、ドライバーの努力だけでは改善できません。

もちろん、各ドライバーは休憩時間をカットしたり、食事を運転中にとったりしていることもありますが、それがかえって効率を下げたり、中には健康被害を訴えるドライバーもいます。モノやヒトが休みなく行き交い、交通網が限界近くまで発展している今、人の力だけで業務効率向上と長時間労働を是正するのは非常にハードルが高いと言えるでしょう。

物流業界のあるべき姿2「従業員の正当な評価」

同一労働同一賃金の原則を順守すべきとは言え、これはすべての従業員に対する待遇を一定に揃えるという訳ではありません。

あくまで同じ労働内容かつ同じ実績を伴う場合、それが正規社員であれ非正規社員であれ、同じ待遇で接すべきだという原則にすぎず、各従業員の業務に対する評価が正当で理由を明確に説明できれば、待遇が同じである必要はないのです。つまり、10の業務をこなしている非正規社員の方が8しかこなしていない正規社員より高待遇なら問題ないわけですが、現在は正当な評価ができているとは言い難い状況です。

また、正当な評価体制が整えば、業務の効率の良い割り振りや余剰人員の整理が進められ、ひいては労働時間短縮などの働き方改革推進にも寄与すると考えられます。

解決策として考えられること・できることは

私たちは法律の改正などに伴う変化に対し、知恵や工夫そして努力によって対応し乗り越えてきました。しかし、2024年に訪れる変化に対してはまだ解決策を模索している企業も多く、実行へ移すことができていません。とくに今回の変化は、いずれも少子高齢化による労働力不足が根底の原因で、高度成長期のように人海戦術では乗り越えられるものではないため、どうすれば良いのかと頭を抱えている企業も少なくはないでしょう。

マンパワーを補うには、振興テクノロジーなどを活用し、限られた労力を効率よく使うことが近道です。たとえば、離れた場所で働く従業員及び車両の動態管理を瞬時に、かつ効率よく行える車両管理システムを取り入れれば、適切な配車や日報の自動化、配送ルートの最適化を図ることが可能です。

一歩先ゆく車両管理システム「SmartDrive Fleet」

簡単に利用が開始でき、直感的な操作で、業務効率向上や事務作業のサポート、安全運転の支援ができるSmartDrive Fleet。業務効率化や事故防止に役立つ機能が豊富に搭載されています。

  • リアルタイムGPS管理機能で現在地を特定し、急な依頼や変更指示、他スタッフのサポートなどを可能に。営業効率を大幅に向上します。
  • 業務量や稼働時間を正確に記録することができるため、現状を把握したうえで課題を割り出し、労務管理や労働環境を見直すなど、働き方改革が推進できるようになります。
  • 運転日報の自動作成機能は手書きによる負担を軽減。ノンコア業務を一気に短縮し、効率的に時間が利用できるようになります。
  • 特許を取得した安全運転診断でドライバー1人ひとりの運転のクセを可視化。全員に向けたざっくりとした安全運転教育から、個々に合った適切な指導が可能になります。
  • 車検や整備のタイミングも登録可能なため、いつ・どのタイミングで点検が必要かを共有できます。

毎日の運行日誌作成業務の自動化や配車・人員配置の効率化により、労働時間の短縮はもとより、日頃から目の届きにくい配送ドライバーの業務内容に対する評価体制を均一化させることができます。従業員の正当な評価が可能になれば、同一労働同一賃金の原則を順守できるだけではなく、全従業員のモチベーションがUPし、結果として業務効率が向上し時短や人件費削減にも役立つことでしょう。

まとめ

いずれ、完全自律運転のモビリティが普及した場合、物流業界は運転という作業から解放され、結果従業員の労働時間も大幅な短縮が可能となるでしょう。しかし、技術的にも法律的にも完全自律運転が物流ドライバーにとって代わるのはまだまだ先の話で、4年後に訪れる2024年には間に合いません。確実な変化に対応すべく、最新テクノロジーを搭載した車両管理システムなど乗り切りましょう。