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2020年3月11日

AI搭載レコーダーは危険運転を抑制するソリューション〜Nautoが進める安全運転改革

「少しぐらいスマホを見ても大丈夫…」「自分は危険な運転はしていないだろう」。

近年、あおり運転やながら運転による事故が後を絶ちませんが、交通事故はこのようなちょっとした意識の持ち方や不注意によって引き起こされるものです。普段から車両を利用する業種であれば、連日、大きなリスクを抱えていることになりますが、企業としてはどのような安全運転対策ができるでしょうか。

今回はNauto Japanの井田さまをお招きし、ドラレコ本来の役割やAI搭載レコーダーの効果について、ドラレコの見方がガラリと変わるようなお話を伺いました。

[インタビュイー]
Nauto Japan 合同会社 代表
井田 哲郎さま

AI搭載レコーダーは危険運転を抑制するソリューション〜Nautoが進める安全運転改革

スピーディな動きでイノベーションを起こしたい——大企業からスタートアップへの転身

井田さんのご経歴とNauto Japanについて教えてください。

2006年、新卒でトヨタ自動車に入社し、レクサスのブランドをブラジルで立ち上げたり、新興国の戦略車種を決めてローンチしたり、実際に1年ほど駐在して事業企画をしたり、中南米の海外事業を担当していました。しかし、自動車×テクノロジーによる新たな時代への予兆を感じ、当時、テクノロジーの中心地として注目されていたシリコンバレーに心が傾き、2014年に退職を決意。退職後はアメリカの大学でMBAを取得し、2016年に中古車マーケットプレイスを展開するBeepiに参画しました。オンラインで査定から売買までアプリで完結できるサービスを展開するBeepiでは、ほぼゼロの段階から事業とオペレーションの立ち上げを担いますが…。

同社はユニコーン企業として200億円もの資金を集めましたが、残念ながら事業計画がうまくいかずに倒産へ。ここでの経験から、今後もスタートアップ界でスピード感を持ったままイノベーションを起こし続けていきたいと思い、2017年2月にNautoに入社しました。日本のマーケットはまだまだ大きなポテンシャルを秘めているということで、2017年の6月にNauto Japan立ち上げのために帰国します。

Nautoはドラレコの会社だと思われがちですが、コンピュータービジョンとAIの技術がコアとする企業です。これらの技術を利用して、安全なトランスポーテーションを確立するというミッションのもと私たちは活動しています。提供しているのは人工知能を搭載したドライブレコーダーですが、自動運転に向けて開発している技術を今日のドライバーの安全を守るために投入しているのです。

ドラレコの企業という印象がございますが、技術を活かしてドラレコの以外のサービスも提供していきたいということでしょうか。

今は便宜上、ドラレコと言っていますが、Nautoでは米国でも安全運転支援プラットフォームという認識で提供しています。アルゴリズムをドラレコに載せることで、そこから得られたデータや知見をウェブアプリケーションでドライバーや運行管理者にフィードバックしてご活用いただくプラットフォーム。それが私たちの製品です。

Nautoのドラレコは今までのドラレコと何がちがう?

一般的なドライブレコーダーとの違いを教えてください。

ドライブレコーダーは記録するためのデバイスですが、Nautoは危険リスクをリアルタイムでモニタリングして高精度に事故を予防する、今までにはないドラレコです。

Nautoの特徴的な機能は2つ。まずは、AIが車内外の映像を瞬時に分析し、ドライバーに警告する「リアルタイム警告」。これは非常に正確なアルゴリズムによって、危険挙動・脇見運転・あおり運転を検知し、リアルタイムで警告を出す機能です。もう少しわかりやすく説明すると、ここ最近、高級車に搭載されている安全運転支援機能がどの車両にも後付けできるというイメージでしょうか。

もう1つが、管理者向けの「レポート機能」。管理画面上に自動で危険運転動画がリスト化できるうえ、顔認識機能でドライバーと車両の運行履歴を紐づけることができますので、より的確な安全運転指導を行うことができるのです。

また、弊社はAIが映像解析した8億kmほどの走行データを所有しています。そこから得られた映像をもとにさまざまなラベル付けをしていますので、必要に応じて高精度のアルゴリズムで分析し、OTA(Over The Air)でアップデートすることで、注力したい危険挙動の新たな検出ができるようになっています。

これは直近の例ですが、2019年11月から車内での喫煙を検出し、運行管理者様に通知できるようにしました。喫煙自体をOKとする企業もありますが、カーシェアやレンタカーの車内では基本的に喫煙はNG。万が一タバコの匂いが残っていたり、タバコの灰を残したりしてしまうと、損害にもつながりますから、多くの企業から喫煙検知の要望をいただいておりました。その機能を実現するべく、ビックデータから喫煙のラベルを付けて蓄積し、喫煙を検出できるようアップデート。iPhoneのように起きたら新しい機能がアップデートされているように、お客様のほうで対応いただくことはありませんので、手間暇もかかりません。

喫煙を検出したいというニーズはグローバルでも多い?

多いですね。日本でも海外でも同じような研究結果があるんですが、喫煙者のほうが事故を起こす確率が高いのです。東北大学の研究では、タバコを1日20本以上吸う人は死亡事故を起こす確率が非喫煙者よりも1.5倍高いことが証明されています。これは、タバコを取り出して火をつける、灰を落とすなど、一連の動作の中で脇見運転が増えることが原因。そのため、大手運送会社や営業車では喫煙が禁止されています。

AIの目で、ドライバーを見守る

AIと聞くと、人工的なロボットが車に同乗するイメージを想像してしまいます。飛び出しなどの危険予測やドライバーの健康チェックをサポートしてくれたりするのでしょうか?

究極的に目指しているのはそうした世界です。パーソナライズされた安全の声かけ、プロアクティブな声かけは、社会としても求められています。現時点では、事故に直結しやすい、脇見運転とあおり運転に注力し、人の目で見ているようなイメージでAIが正確に判定して警告を出すようにしています。パーソナライズして声をかける段階にはまだ至りませんが、危険に直結する挙動は人と同じような精度で制御していければと。

また、AIのドラレコと聞くと、行動を監視されているような気がしてしまうのですが…。

カメラがあるので監視されていると思う方もいらっしゃるようですが、そこは視点を変えて活用いただくよう、ご案内しています。現存のドラレコは、SDカードを挿入してそこに走行時の映像を収めるものが主流です。これはつまり、すべての運転をくまなく確認できるため、ドライバーのプライバシーがゼロに近いといっても過言ではありません。Nautoのシステムは、AIが危険なシーンだけを判定して抜き出しますので、安全運転であれば何もアップロードされませんし、残ることもありませんので、ドライバーのプライバシーをしっかり守ることができるのです。

実は、統計を取ると全走行に対してナウトがアップロードする動画は0.1%程度。逆にいうと99.9%が安全運転だということです。弊社のデバイスはSDカードが抜き出せない設計になっていて、見ることができるのは危険挙動のみですから、安全を守ることに特化したポジティブな監視だと捉えていただければと。

わき見運転は54%減!AI搭載ドラレコの実力

現在、どのような企業様にご利用いただいていますか。

車を持っている法人企業は全業種がお客様です。営業車、軽バン、大型トラック、ほぼすべての車種に対応していますので、幅広くご利用いただいています。全体で言うと、安全運転に対して意識が高い、事故が多い、運ぶモノや人への付加価値が高い業界が多いかもしれません。物流はもちろん、付加価値の高い営業をされている企業様も事故が起きた時のリスクが高いため、積極的に導入されています。

導入後の効果として、お教えいただける事例はありますか。

導入企業の全体的な統計を取ると、導入後6カ月後にわき見運転が54%減っていることがわかりました。各企業で目的や利用方法など異なりますので、事故削減についてはバラつきがありますが、35%〜70%が導入後の効果として現れています。例えば、フィリップス・ジャパン様では、導入したのちに、衝突事故が6〜7割ほど減少したという実績がでています。

現在、国内外を含めて何社に導入されているのでしょうか。

グローバルでは525社以上にご利用いただいております。

ながら運転・あおり運転をなくすには、意識改革から

日本での今後の事業展開や展望についてお伺いできますか。

今はまだ、日本の全物流会社様がNautoを認知している訳ではありませんので、今後は「安全といえばNauto」と想起いただけるよう、安全とNautoが直結するようになりたいですね。そのためにも、まずは日本で展開している法人向けのサービスを加速させていきたいと思っています。先々の展開としては、量産車に弊社のテクノロジーを搭載いただいたり、他社に採用いただいたりということも考えています。

Nautoでは、オリックス自動車様と共に昨年12月より「STOP! ながら運転・あおり運転キャンペーン」を実施しています(3月31日まで)。本キャンペーンにエントリーいただいた法人企業様には、ながら運転・あおり運転の危険性と安全運転管理のノウハウをまとめたデジタルブック、注意喚起用のステッカーを100枚まで無料で提供しています。昨年の12月からながら運転が厳罰化され、違反点数が3点に引き上げられたことで、免停になるリスクが一気に高まりました。

国会でも、あおり運転の罰則化が真剣に議論されていますので、車両を保有する企業は各社、戦々恐々としています。Nautoのデバイスでは、ながら運転・あおり運転を注意する機能がありますので、それを強みとしてキャンペーンを実施することになりました。

このキャンペーンのゴールを教えてください。

社会的にも「ながら運転・あおり運転は絶対にいけないものだ」と言われていますが、それを抑制するソリューションは今までなかったんです。政府も罰則を強化しましたが、具体的な解決策は出ていません。このままでは意識を変えることはできないと感じ、ドライバーの意識を高めることをゴールに設定しました。社会全体に必要なことは意識変革です。このキャンペーンで意識を変え、当たり前のように安全運転に注意を払うようになってほしい。そのうえで、弊社の製品に興味を持っていただけるようでしたら、ご案内させていただきたいなと思っています。

スマートドライブとどのようなコラボレーションが可能でしょうか?

スマートドライブも法人向けにテレマティクスやモビリティプラットフォームを提供されていますが、お客様の中にはドラレコが必要とされる方もいらっしゃるはず。その点に関しては協業できる部分は数多くありますから、引き続き連携していきましょう。

最後にひとことお願いします。

ドラレコの本質にあるのは安全運転を推進すること。しかし、管理しづらかったり、SDカードで取得したすべての運転状況を読み解くことができなかったり、安全運転を推進する運行管理者の業務をより複雑にしてしまっているのが現状です。私たちはAIを活用して、運行管理者の業務をもっとスムーズかつ簡単にできるプラットフォームを提供していきたいと思っています。

興味のある方はぜひ、オンラインでデモも行っていますのでご連絡ください。